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人工知能に関する「よくある10の誤解」──すごい人工知能はまだ存在しない

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人工知能ブームがはいよいよ過熱し、人々がテクノロジーのへの発展進展に過度に過大な期待を抱くことで、人工知能が明日にでも生活や産業構造をがらりと変えてしまい、自分たちの仕事が奪われるのでは? という危機感を持つ人も多いようだ。また、企業がこの波に乗り遅れまいとAI開発競争に参入参戦する動きも急加速している。そんな中、ガートナージャパンは2016年12月22日、人工知能に関する10の「よくある誤解」を発表した。

 

人工知能 に関する10の「よくある誤解」

以下が今回ガートナージャパンが発表した、顧客の間で多く見られるAIに関する「10のよくある誤解」である。

  1. すごく賢いAIが既に存在する。
  2. IBM Watsonのような(自然言語からを学習し、人間の意識決定を支援する:編集部注)ものや機械学習、深層学習を導入すれば、誰でもすぐに「すごいこと」ができる。
  3. AIと呼ばれる単一のテクノロジが存在する。
  4. AIを導入するとすぐに効果が出る。
  5. 「教師なし学習」は教えなくてよいため「教師あり学習」よりも優れている。
  6. ディープ・ラーニングが最強である。
  7. アルゴリズムをコンピュータ言語のように選べる。
  8. 誰でもがすぐに使えるAIがある。
  9. AIとはソフトウェア技術である。
  10. 結局、AIは使い物にならないため意味がない。

 

「すごい人工知能」はまだ存在しない

「上の10の誤解」の中でも、特に大きな誤解を与えるものは、誤解1(すごく賢いAIが既に存在する。)と、誤解2(誰でもすぐに「すごいこと」ができる。)だという。つまり「すごい人工知能がすでに存在している」という誤解だ。

まず、誤解1:すごく賢いAIが既に存在する。——について、
この誤解に対してガートナージャパンは次のように説明して語っている。

 

まず明確にしておくべきことは、「現時点において世の中には本物のAIと呼べるものは存在しない」という事実です。人工知能をまともに研究している人は、現時点において「人間と同様の知能」を実現できているテクノロジは存在しないことを「当たり前のこと」として認識しています。その一方で、現在AIがまさにバズワードとして取り上げられていることから、経営者やテクノロジにそれほど詳しくない人は、AIによってさも「今、人間と同様のことができる」あるいは「今すぐにすごいことができる」と捉えてしまう傾向が見られます。ガートナーは、AIに関しては、遠い将来の話と、現在の話、数年後の話といったことを明確に分けて捉えるべきであると考えます(図1参照)。「今、すごく賢いAIが既に存在する」というのは相当な誇張であり、学術的に見ても誤りであることを理解すべきです。企業は、SFの話と今の話を明確に分けておくことが重要です。

 

人工知能とは何か

*この表はGartner Japanのプレスリリースを基に日本IBMが編集を加えたものです

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自然言語や性格分析も!知っておきたい Watson API まとめ

 
次に、誤解2:IBM Watsonのようなものや機械学習、深層学習を導入すれば、誰でもすぐに「すごいこと」ができる——については、こんな風に説明している。

 

2011年2月にWatsonが「Jeopardy!」というクイズ番組に挑戦し、勝利しました。また2016年3月にAlphaGoが囲碁の対局でトップ棋士に勝ちました。これらを受け、こうしたものを導入すると「すぐにすごいことができる」と捉える人がいますが、そのように単純ではないことを理解する必要があります。これらは、機械学習や深層学習 (ディープラーニング) の応用ですが、それらを導入すれば同じようなことがすぐに実現できるわけではなく、こうした「すごいこと」を成し遂げようとするなら、実際の「すごい」テクノロジに加え「すごい」エンジニアがいなければなりません。企業は、「AIのようなものを導入すれば誰でもすぐにすごいことができる」というのは誤りであることを、まずは理解する必要があります。AIのようなものは、人間に例えれば赤ちゃんか子供であると捉えておくべきであり、うまく育てるためにも、育てる人の「スキル」が求められることを忘れてはなりません。

 

このように、わたしたちが期待する「すごい人工知能」はまだ存在しない。人工知能が何でもできるレベルになるには、少なくとも「10年以上」かかるという。亦賀 忠明氏(リサーチ部門バイスプレジデント兼最上級アナリスト)は「日本企業は、いま世界的に起きているハイスキル人材競争に出遅れており、AI技術にチャレンジしても、80%はテクノロジでなく人材確保で行き詰まり、競争力が低下するだろう」と警告している。

今回の発表は、高揚する人工知能ブームを冷静に見つめ直し、日本企業がAI時代に何に重点を置くべきかについての重要な示唆となっている。今回のガートナージャパンの発表は、高揚する人工知能ブームを冷静に見つめ直すいい機会になるだろう。